本稿は、一七世紀末―一八世紀初頭に行われた江戸幕府による上方支配の再編を明らかにするものである。当該期の大きな特徴として、上方で行われていた激しい領主交代が激減すること、転封を繰り返していた譜代大名が全国各地で一斉に定着していくことが挙げられ、本稿ではこの二つの変化が連動して起きていることに注目し、全国支配再編との関連性を明らかにしょうとするものである。 一七世紀段階の上方においては、京都所司代ら幕府官僚と譜代大名の存在形態・役割・権限が未分離であり、両者の合議による上方支配が展開した。一七世紀末―一八世紀初頭にかけて、両者は最終的に分離し、譜代大名は外様大名と同様に将軍を頂点とする軍役体系のもとに編成されて全国各地で譜代藩として定着していき、また老中・寺社奉行・勘定奉行らが担当する全国支配のもとで、京都所司代・大坂城代を頂点とする幕府支配機構が一定程度の独自性を持ちながら上方支配を担当することとなった。