井堀, 利宏川出, 真清Ihori, ToshihiroKawade, Masumi
本稿は戦後日本の財政政策について,主として公共投資のメリットとコストを対象として,包括的な評価を試みている.まず第1節では,戦後の財政運営を大雑把に振り返ることで,財政政策に関するマクロ的議論をサーベイしている.ここでの中心的な分析課題は公共投資の乗数効果を重視するケインズ的な景気調整機能である.第2節では,政府支出(政府消費と公共投資)を取り上げてその将来に及ぼす効果を比較検討する.また,第3節では,90年代以降累積的に増大している財政赤字を取り上げて,既得権化した公共事業の削減が容易に進まない政治経済学的な要因を分析する.