隈元, みちるクマモト, ミチルKumamoto, Michiru
近年、心理療法場面における「身体」の重要性が指摘されるようになってきている。それは心身症といわれる疾患の増加が一因であろう。心身症はこれまで近代医学が則ってきた、こころと身体とを区別して身体のみを治療対象とする在り方の見直しを求めるものであり、また心理臨床場面においても、もはやこころだけを取り扱おうとすることは難しいことを実感させる。そこで本稿では、身体とこころの在り方について、西洋哲学における心身二元論、日本における「身体」の捉え方、臨床場面で見られる心身相関と順にまとめた。その上で、アンリ・コルバンの提唱する「イマジナルな世界」における「微細なる身体」が、表層にあるこころと身体全体に深層からの知をもたらすのではないかと考えた。人々が心理臨床を求めるのは、日常生活が何らかの意味で破綻したときであり、この「微細なる身体」がもたらす知によって、日常生活が再構成され新たな意味が付与されると考えられる。心理臨床場面においてはこの身体に開かれていくことが求められると考えた。