近年、「心」の教育の必要性が叫ばれるようになっているが、それに伴って教師や親への期待も高まり、ときにはそれがストレスになることもあるように思われる。とりわけ、心理的問題をおこす子供の母親がそうしたストレスにさらされる時、自己の生き方や女性性について考え直すこともしばしば生じている。本稿ではそういった現代社会に生きる女性に注目し、その心理的な問題としての女性性について取り上げた。ここでは、夢や神話を用いて女性性について考察している3人のユング派の心理療法家の見解をとりあげ、そこから浮かび上がってくる現代女性の心理的問題についてまとめた。3者に共通して認められることは、現代の女性達が、自らの内なる女性性とのつながりを喪失しているということであった。そしてその失われた女性性は死、汚臓といった性質と同時に、聖なるもの、宗教的なものでもあると考えられた。また、このような現代女性のもつ女性性の特徴は、父権制に彩られた社会の発展と深く関連していることが示された。それらをふまえて現代女性の女性性について新しい視点が示唆されることが期待された。
藤澤, 佳澄フジサワ, カスミFujisawa, Kasumi