毛, 新華Mao, Xinhua大坊, 郁夫ダイボウ, イクオDaibo, Ikuo
近年、中国と日本の間で、人的交流が盛んに行われている反面、異文化コミュニケーションのトラブルも続出している。このようなトラブルの解決策を講じる前段階として、中国と日本の社会的スキルの内容の比較を通して、両者の共通性と独自性を解明する必要がある。そこで、本研究では、このような比較を可能にするために、中国人大学生社会的スキル尺度の作成に用いられた中国人の社会的スキルの特徴を描く項目リストに基づき、日本人大学生を対象に調査を行った。日本人大学生から4つの因子が得られた。これらの因子の信頼性と妥当性を確認した上、既存研究の中国人大学生の結果と比較した。その結果、「社交性」因子の内容は両国の間で大きな違いはないが、他の因子の比較(中国の「相手の面子」因子と日本の「思いやり」因子、中国の「友人への奉仕」因子と日本の「つきあい」因子)では、重なる項目が存在するものの、因子を代表する他の項目の内容と合わせて考えることによって、それぞれの社会的文脈において、因子が異なるように解釈される。また、重なる項目の得点の比較においては、いずれも中国人大学生は日本人大学生より高いという結果になった。しかし、先行研究で指摘した日本人大学生の質問紙回答において自己卑下の傾向があることを配慮して、中国人大学生が日本人大学生より社会的スキルを備えているという結論には慎重であるべきであろう。