メンタルヘルス不調を予防するためのアプローチとして,VRセルフカウンセリング(VR-SC)の効果が期待される。VR-SCとは,VR空間で自分自身と相談相手のアバターを入れ替わりながら,自分の悩みについて話し合う方法である。先行研究ではフロイトとのVR-SCの効果が示されているが,本研究では,自分を大切に思ってくれている人物(親密他者)とのVR-SCの有効性を検討した。大学生・大学院生60名を,親密他者VR-SC群,フロイトVR-SC群,統制群に分類し,介入効果の比較を行った。群×時期の分散分析の結果,介入後に両介入群の悩みの苦痛度が有意に低減していた(ps<.01)。これに加えて,親密他者VR-SC群は,介入後に他2群よりも不安症状が低減していた(ps<.10)。さらに,介入後に親密他者VR-SC群のみ参加者全員が,悩み事が改善したと報告した。これらの結果は,親密他者の視点から自分自身を受容・肯定し,あたたかい態度で相談に乗ることで生じたと考えられる。以上より,親密他者とのVR-SCがメンタルヘルスの維持・向上に効果的であることが示された。
孝次 堀内ホルバート ベロニカ直 木村恭子 三浦勤 松井意子 平松