本研究は夫婦関係にある調査モニター(606名)を対象に,愛着傾向(不安と回避)と親密な関係における葛藤への対処行動との関連に関して,結婚年数の調整効果の観点から探索的に検討を行った。オンライン調査を用いて,場面想定法により親密な関係が脅かされた場面を提示したうえで,その時に生じた対処行動傾向,そして特性としての愛着傾向を測定した。相関分析の結果,愛着不安が高いほど,パートナーへの別れ匂わせ志向が高いが,葛藤に触れようとせず,解決に出ようともしない葛藤回避志向も高い。一方,愛着回避が高いほど,葛藤回避志向が高く,パートナーと話し合う対話志向が低いことが示された。一般化線形モデルにより,葛藤回避志向または別れ匂わせ志向に対して,愛着回避の影響が結婚年数に調整されていることが示された。結婚年数の低群において愛着回避が高いほど葛藤回避志向が高く,別れ匂わせ志向が低いことを示された。これらの結果は,愛着傾向と親密な関係における不適切な葛藤対処行動との関連を示唆している。そして,親密な関係が持続するにつれて,愛着回避と不適切な葛藤対処行動とのつながりを弱める可能性を示唆している。