JOURNAL ARTICLE

Fine Particulate Matter (PM2.5)

Kazuhiko Sakamoto

Year: 2013 Journal:   JAPAN TAPPI JOURNAL Vol: 67 (12)Pages: 1377-1381   Publisher: Japan Technical Association of the Pulp and Paper Industry

Abstract

大気中に浮遊している粒子状物質(PM)としては直径が100μm程度まであり,質量濃度では直径約2μm以上の粗大粒子と約2μm以下の微小粒子に分けられる。直径約2μm以下のPMは呼吸器系の最深部である肺領域の細気管支や肺胞に沈着する。我が国では,10μm以下の粒子(浮遊粒子状物質:SPM)について,呼吸器への影響,全死亡率の上昇などを考慮して,SPMの環境基準を1973年に定めている。2000年前後にSPMや微小粒子による大気汚染と健康被害に関する訴訟などもあり,大都市における大気汚染の改善は緊急の課題となり,中央環境審議会大気環境部会(2008年4月)で検討が開始され,測定法を含めてPM2.5の環境基準が2009年9月に告示された。世界で最も厳しいレベルにある我が国の大気汚染物質排出規制により,排煙等からの脱硫,脱硝,除塵,NOx還元触媒,ディーゼル粒子除去装置などの設置,自動車排ガス対策,ダイオキシン類対策特措法,自動車NOx・PM法,VOC排出抑制などの環境対策がすすめられてきた。このような状況下で,我が国ではOxと2009年に制定された微小粒子状物質(PM2.5)を除く大気環境基準をほぼ達成し得るようになっている。PM2.5の平均組成は,存在状態が変化しやすいものや吸湿性の高い二次発生無機成分と高極性成分をも含む有機粒子の合算割合がPM2.5の7割を占めている。最近のPM2.5研究からは,冬季の二次発生硝酸塩と一次発生としての稲藁やもみ殻等の農業廃棄物燃焼,夏季における植物起源揮発性有機化合物由来の二次発生有機物と夏季の海風卓越時における二次発生硫酸塩,によるPM2.5への大きな寄与が指摘されている。我が国ではこれまでの大気汚染対策を着実に実施していくとともに,自然起源VOCが関与するOxとPM2.5の生成機構やそれらの濃度を支配する因子の解明を急ぐ必要がある。その上で,Oxならびに温暖化対策との共便益性を考慮したPM2.5対策としてSO2,NOx,VOCの排出抑制のいずれが効果的か,また光化学反応機構を詳細に考慮したそれらの適切な排出抑制レベルはどのようなものかなど検討していく必要がある。2020年の東京での夏季オリンピックにより,これまで以上に夏季のPM2.5の二次発生と光化学オキシダントに考慮した大気汚染対策が期待されるのではないだろうか。2013年の1月からの多くの報道で,西日本における中国等からの越境汚染による我が国のPM2.5濃度への大きな寄与は一躍国民的関心事になった。国際的な環境保全の枠組みに向けた活動を積極的に進めるべきである。

Keywords:
Particulates Environmental science Environmental chemistry Chemistry

Metrics

7
Cited By
0.00
FWCI (Field Weighted Citation Impact)
0
Refs
0.36
Citation Normalized Percentile
Is in top 1%
Is in top 10%

Citation History

Topics

Air Quality and Health Impacts
Physical Sciences →  Environmental Science →  Health, Toxicology and Mutagenesis
© 2026 ScienceGate Book Chapters — All rights reserved.