憲正 藤本ノリマサ フジモトNorimasa Fujimoto
20 世紀に入り盛んになった宗教間対話は、21 世紀の現在でもなお取り組みが必要な課題である。グローバル化の中で、移民と在来の住民の統合、原理主義の台頭、労働者や学生の国際的移動などで、異文化異宗教間の接触と摩擦は増えている。そこで本論では、過去の宗教間対話の成果を確認して、諸宗教間の関係の在り様について整理する。その際、とりわけ、ローマ・カトリックの神学者ハンス・キュンクを取り上げる。彼は第二バチカン公会議から宗教間対話に積極的に携わり、最後には世界倫理を主張した。そして、カール・ラーナーのようにキリスト教の真理によって諸真理を包括する方法や、ジョン・ヒックのように真理を相対化する方法を一貫して批判して、「人間らしく」あることの追求を宗教間対話の基準とした。それは、世界倫理の基準として外側から宗教に求められると同時に、宗教の内側において真理の観点から基礎づけ具体化されて、社会的実践のために人々の共通の基準となる。